第162章 いつか橘礼子は後悔することになる

新井夫人は言葉に詰まって、目を瞬かせた。

「……え? 何ですって?」

橘礼子は聞き返されたのを聞き取れなかったのだと思い、同じ言葉を繰り返す。

「橘結衣は、書道なんてできません」

新井夫人は目を丸くした。

「そんなはずないでしょう? あなたのところの結衣さん、全国書道大会に出るって聞いたわよ。書道ができない子が、どうして全国に?」

今度は橘礼子のほうが驚いた。

「橘結衣が……書道大会に?」

視線がぶつかり合う。新井夫人は数秒、固まったように黙り込み――やがて信じられないものを見る目で眉をつり上げた。

「え、知らないの? 松浦先生がね、結衣さんのことをすごく気に入って。推薦枠...

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